雨漏りの原因をAIに聞いてみたら?ChatGPTの写真診断とプロの調査結果を徹底比較!

皆様、いつも株式会社サーモグラフィ検査のコラムをご覧いただきありがとうございます。

突然ですが、皆様は雨漏りの原因をAIに聞いてみたことはありますか?

最近はChatGPTやGeminiをはじめとした生成AIが急速に普及し、分からないことがあれば、まずAIに質問するという方も増えているのではないでしょうか。

実際、AIは本当に便利です。しかも、結構正しいことを教えてくれます。

雨漏りについても例外ではありません。弊社へのお問い合わせでも、「AIに聞いたら〇〇が原因と言われました」「AIが教えてくれた方法で調査や修理をしても大丈夫でしょうか?」といったご相談をいただくことがあります。

そんなとき、私たちは「雨漏りにはさまざまな要因が複雑に関係するため、AIの情報だけで原因を判断するのは難しいです。正確な原因特定は専門の調査会社にお任せください」とご案内しています。

いわゆる「餅は餅屋」ということですね。

ただ、ふと思ったのです。

雨漏り調査員

「実際にAIを使って検証していないのに、AIでは分からないと言い切ってしまうのも、今の時代に合っていないのでは?」

そこで今回は、実際に雨漏りが発生した住宅の写真をChatGPTに見せ、AIがどこまで原因を推測できるのかを検証してみました。

さらに、弊社が実際に実施した雨漏り調査の結果と比較し、AIによる写真診断の可能性と限界について詳しくご紹介します。

目次

今回AIに診断してもらう雨漏りの状況

今回の検証に使用するのは、東京都内某所の戸建て住宅で実際に発生した雨漏りの写真です。

建物は鉄筋コンクリート造(RC造)の住宅で、2階のキッチン天井に雨漏りが発生していました。

天井にはひび割れ(クラック)が確認でき、その周辺には水分の影響が疑われる変色も見られます。

また、別の角度から撮影した写真でも、天井面のクラックが確認できます。

こうした症状を見たとき、一般的には「天井にひびが入っているから、そこから雨水が入ってきているのでは?」と考えてしまいがちです。

しかし、ここで注意したいのが、雨漏りが発生している場所と、雨水が建物に侵入している場所は必ずしも同じではないということです。

今回は、建物の構造や上階の状況、実際の調査結果などをAIには伝えず、雨漏り箇所の写真だけを見せて原因を推測してもらいます。

ChatGPTに「この雨漏りの原因は何?対策はどうすればいい?」と聞いてみた

今回、ChatGPTに送った質問は非常にシンプルです。

「この雨漏りの原因は何?また、対策はどうすればいい?」

この質問とともに、実際の雨漏り箇所を撮影した2枚の写真を提示しました。

では、AIはどのように判断したのでしょうか。

診断結果①:天井のひび割れから水が漏れ出している可能性

まず写真から確認できるのは、天井にクラックがあり、その周辺に変色が見られることです。

この状態から、AIは天井内部に水分が存在し、クラックを通じて室内側に水が漏れ出している可能性を指摘できます。

ただし、これはあくまで雨漏りの発生箇所についての推測です。

クラックから水が出ているとしても、そこが建物外部からの雨水の侵入口とは限りません。

診断結果②:上階の防水層や外壁からの浸水

天井から雨漏りが発生している場合、原因の候補として考えられるのが、上階のバルコニーや屋上などの防水不良です。

例えば、次のような箇所が考えられます。

これらはいずれも、建物の雨漏りで原因となり得る箇所です。

しかし、写真だけでは建物外部の状態を確認できないため、どの箇所が実際の侵入口なのかまでは判断できません。

診断結果③:給排水設備からの漏水の可能性

今回の雨漏り箇所はキッチンの天井です。

そのため、建物の配管経路によっては、給排水設備からの漏水も原因候補として考えられます。

雨が降ったときだけ発生するのか、晴天時にも水が漏れるのか、水道を使用したタイミングと関係があるのか。

こうした情報によって、雨水の侵入と設備配管からの漏水を切り分けることができます。

ただし、今回提示した写真だけでは、配管の有無や経路までは確認できません。

AIが提案する対策は?

写真から考えられる原因を踏まえると、AIが提案できる対策としては、以下のようなものがあります。

  • 雨漏りが発生するタイミングや雨量を記録する
  • 天井の上部にあるバルコニーや屋上の状態を確認する
  • 外壁やサッシ周辺のひび割れ・シーリングの劣化を確認する
  • 給排水設備からの漏水の可能性を確認する
  • 専門業者に現地調査を依頼し、原因を特定してから補修する

いかがでしょうか。
実際、ここまでの内容は大きく間違っていません。
雨漏りの原因として考えられる箇所も、確認すべきポイントも、一般的な知識としては十分参考になります。

ただし、ここで重要なのは、AIが挙げたのは「原因の候補」であって、「今回の住宅で実際に起きている原因」ではないということです。
では、実際の調査では何が分かったのでしょうか。

実際にプロが雨漏り調査を行った結果は?

ここからは、株式会社サーモグラフィ検査が実際に行った現地調査の結果をご紹介します。

今回の建物では、2階キッチン天井の雨漏りに加え、1階玄関付近にも雨漏りの症状が確認されていました。

弊社では、それぞれの症状に対して、建物の構造や雨漏りの発生状況を踏まえ、異なる調査方法を組み合わせて原因の追究を行いました。

弊社の診断結果

調査①:キッチン天井のクラックにガス注入調査を実施

まず、2階キッチン天井に発生していた雨漏りについて、ガス注入調査を実施しました。

ガス注入調査とは、雨漏りが発生している室内側の箇所から専用のガスを注入し、建物外部のどこからガスが排出されるかを検知する調査方法です。

雨水が通過している可能性のある隙間や経路を調べるため、特に鉄筋コンクリート造の建物などで活用されます。

今回も、キッチン天井のクラック部分からガスを注入し、建物外部で反応を確認しました。

調査②:3階バルコニーの複数箇所でガス反応を確認

調査の結果、キッチン天井の上階にあたる3階バルコニーで、ガスの反応が確認されました。

具体的には、以下の箇所です。

  • 3階バルコニーのサッシ下部にあるシーリング材の破断箇所
  • 3階バルコニーの側溝立上り部分にある開口箇所

つまり、キッチン天井のクラックから注入したガスが、上階のバルコニーにある複数の箇所から検知されたのです。

この結果から、バルコニーのサッシ周辺や側溝立上り部分から侵入した雨水が、バルコニー下部に滞留し、2階キッチン天井の雨漏りを引き起こしている可能性が高いと判断しました。

ここが今回の検証で特に重要なポイントです。

雨漏りが発生していたのは2階のキッチン天井でしたが、実際に雨水の侵入口として疑われたのは3階バルコニーの複数箇所だったのです。

写真だけを見て天井のクラックを補修しても、外部から雨水が侵入する原因を解消できなければ、再び雨漏りが発生する可能性があります。

調査③:別の雨漏り箇所では散水調査とサーモグラフィ調査を実施

さらに、今回の住宅では、1階玄関付近にも雨漏りが発生していました。

こちらについては、2階のサッシ下部にある隙間を対象に散水調査を実施しました。

散水調査とは、雨水の侵入が疑われる箇所に水をかけ、実際の雨に近い状況を再現することで、雨漏りの発生経路を調べる方法です。

今回の調査では、2階サッシ下部の隙間に散水したところ、1階玄関上部の壁面に変化が確認されました。

1箇所目(サッシ中央下部)

2箇所目(サッシ右側下部)

そこで赤外線サーモグラフィカメラを使用し、散水前後の温度分布を比較しました。

その結果、散水後に低温箇所が広がる様子が確認され、2階サッシ下部の隙間から侵入した水が床下に滞留し、1階玄関上部の雨漏りにつながっていると判断しました。

また、バルコニーの散水栓ボックスについても、水張り調査で気泡が発生する様子が確認され、別の雨水侵入経路となっている可能性が指摘されました。

このように、一つの建物であっても、雨漏りの発生箇所によって原因や調査方法が異なることがあります。

散水前のサーモグラフィカメラ撮影画像

散水後のサーモグラフィカメラ撮影画像

調査結果

以上の事から、
2階西側サッシ下部隙間から浸入した水が2階床下に滞留し、
1階南側玄関上部壁面に雨漏りを発生させる原因と判断する。

AIの写真診断と実際の雨漏り調査を比較してみた

では、今回のAIによる写真診断と、弊社が行った現地調査の結果を比較してみましょう。

AIが推測できたこと

AIは、天井のクラックや変色から、雨漏りが発生している可能性を指摘できました。

また、上階の防水不良やサッシ周辺のシーリング劣化など、実際の原因に関係する可能性のある箇所を候補として挙げることもできました。

つまり、一般的な雨漏りの知識をもとに、調査すべき方向性を考えるという点では、AIは十分役立つといえます。

AIだけでは分からなかったこと

一方、写真だけでは次のような情報を判断できませんでした。

  • 雨水の侵入口が3階バルコニーに存在すること
  • サッシ下部のシーリング材に破断があること
  • バルコニー側溝の立上り部分にも侵入経路が疑われること
  • 室内のクラックと外部の隙間がつながっている可能性
  • 別の雨漏り箇所では異なる侵入経路が存在すること

これらは、現地でガス注入調査や散水調査などを実施し、実際の反応を確認することで初めて分かった内容です。

AIは原因の候補を挙げることはできますが、現場で水やガスの動きを確認することはできません。

今回の検証結果は?

今回の結果をまとめると、AIの推測は方向性として参考になるものの、実際の雨水侵入経路を特定するには至らなかったということになります。

これはAIが間違っているというより、判断に必要な情報が不足しているためです。

写真に写っているのは雨漏りが発生した結果であり、建物内部で雨水がどのように移動したのかまでは分かりません。

この違いこそが、AIによる写真診断と専門会社による現地調査の大きな差だと考えています。

なぜ雨漏りの原因は写真だけでは特定できないのか?

雨漏りの原因を正確に特定するためには、非常に多くの情報が必要です。

例えば、建物の築年数、構造、外壁や屋根の仕上げ材、防水処理の状態、雨漏りの発生時期、雨の強さ、風向きなど。

さらに、雨漏りが発生している場所と、実際に雨水が侵入している場所が離れているケースも珍しくありません。

雨水は建物内部を移動する

雨水は、必ずしも侵入した場所から真下に落ちるわけではありません。

コンクリートのひび割れや建材の継ぎ目、配管周辺の隙間などを伝って移動することがあります。

そのため、室内で水が漏れている場所だけを確認しても、外部のどこから雨水が侵入したのかは判断できないことがあります。

今回の住宅でも、2階キッチン天井の雨漏りに対して、3階バルコニーの複数箇所でガス反応が確認されました。

複数の原因が重なっていることもある

雨漏りは、一つの原因だけで発生するとは限りません。

サッシ周辺のシーリング材の劣化、防水層の不具合、外壁のクラックなど、複数の問題が重なっているケースもあります。

今回の調査でも、キッチン天井の雨漏りに関係する可能性のある箇所が複数確認されました。

そのため、一箇所だけを補修しても、ほかの侵入経路が残っていれば、雨漏りが再発する可能性があります。

雨の降り方によって症状が変わる

雨漏りは、雨量や風向きによって発生状況が変わることがあります。

通常の雨では漏れないのに、台風や横殴りの雨のときだけ漏れるというケースもあります。

こうした条件を踏まえて調査するためには、建物の状況を確認し、必要に応じて雨漏りを再現する検査を行うことが重要です。

サーモグラフィカメラだけで雨漏りの原因は分かる?

ここで、もう一つお伝えしたいことがあります。

雨漏り調査について調べていると、「サーモグラフィカメラを使えば雨漏りの原因が分かる」という説明を見かけることがあります。

しかし、サーモグラフィカメラだけで、すべての雨漏りの原因を特定できるわけではありません。

サーモグラフィカメラは、建物表面の温度分布を可視化するための機器です。

雨水の侵入によって温度変化が生じている場合、その変化を捉えることで、目視では分かりにくい水分の影響を確認できることがあります。

ただし、温度差が生じる理由は水分だけではありません。

断熱材の状態や日射、空調、建物の構造などによっても温度分布は変化します。

そのため、温度の違いが見つかったからといって、それだけで雨水の侵入口を断定することはできません。

弊社では、サーモグラフィ調査に加えて、散水調査・ガス注入調査・紫外線発光検査液調査などを、建物の状況に応じて組み合わせています。

重要なのは、特定の機器を使うことではなく、複数の調査結果を照らし合わせ、雨漏りの原因を裏付けることです。

AIを使った雨漏り診断は意味がないのか?

ここまで読むと、「結局、AIで雨漏りを調べても意味がないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、私たちは決してそうは考えていません。

むしろ、AIは雨漏りについて調べる際の便利なツールだと思っています。

AIが役立つ場面①:雨漏りの原因候補を知る

雨漏りが発生したとき、どのような原因が考えられるのかを調べるにはAIが役立ちます。

屋根や外壁、サッシ、バルコニーなど、確認すべき場所の候補を知ることができます。

ただし、候補が挙がったからといって、その場所が実際の原因であるとは限りません。

AIが役立つ場面②:専門業者に相談する前の情報整理

雨漏りがいつから発生しているのか、どのような雨の日に漏れるのか、どの場所に症状が出ているのか。

こうした情報を整理する際にもAIを活用できます。

例えば、「雨漏り調査会社に相談するとき、どのような情報を伝えればよいですか?」と質問すれば、相談前に準備すべき内容を整理する手助けになります。

AIが役立つ場面③:調査方法や専門用語を理解する

散水調査やサーモグラフィ調査、ガス注入調査など、雨漏り調査にはさまざまな方法があります。

AIを使えば、それぞれの調査方法の特徴や目的について、基本的な知識を得ることができます。

専門業者から説明を受けた内容を理解するための補助としても便利です。

一方で、AIが提案した方法をもとに、屋根や高所へ上がったり、むやみに散水したりすることはおすすめできません。

転落事故や建物内部への浸水拡大につながるおそれがあるためです。

AIの回答だけで雨漏りを修理するのはおすすめできません

弊社へのお問い合わせでも、「AIが教えてくれた場所を補修すれば直りますか?」とご相談いただくことがあります。

しかし、雨漏りの原因が特定できていない段階で補修工事を行うことには注意が必要です。

例えば、天井にひび割れがあるからといって、その部分をコーキング材で塞いでも、外部からの雨水の侵入が止まるとは限りません。

一時的に水が見えなくなったとしても、建物内部では雨水が滞留し続けている可能性もあります。

また、原因と関係のない場所を補修してしまうと、費用が無駄になるだけでなく、後から原因を調べる際に状況が分かりにくくなることもあります。

雨漏りの補修で大切なのは、雨漏りしている場所を塞ぐことではなく、雨水がどこから侵入しているのかを正確に把握することです。

そのため、AIの回答は参考情報として活用し、実際の補修については専門業者による調査結果をもとに判断することをおすすめします。

今回の検証で改めて感じた、雨漏り調査専門会社の価値

今回、実際の雨漏り写真をChatGPTに見せてみて、改めてAIの便利さを実感しました。

写真から考えられる原因を整理し、調査すべき箇所や対策の方向性を提示できる点は、とても優れていると思います。

一方で、実際の調査結果と比較すると、AIによる写真診断だけでは分からないことも数多くありました。

今回の住宅では、キッチン天井のクラックからガスを注入し、上階バルコニーの複数箇所で反応を確認することで、雨水の侵入経路を具体的に絞り込むことができました。

また、別の雨漏り箇所については、散水調査とサーモグラフィ調査を組み合わせることで、雨水の侵入と室内側の変化を確認しています。

こうした結果は、写真を見ただけでは得られない情報です。

建物の構造や築年数、雨漏りの発生状況、外部の劣化状態などを多面的に確認し、必要な調査を組み合わせることが、原因究明には欠かせません。

私たちが雨漏り調査の専門会社として大切にしているのは、単に「ここが怪しい」と推測することではなく、実際の調査によって原因を裏付け、適切な補修につながる情報をご提供することです。

AIの進化によって、雨漏りに関する知識は以前よりも簡単に得られるようになりました。

それでも、現場でしか確認できない情報や、専門的な調査によって初めて分かることは数多くあります。

だからこそ、雨漏りの原因特定は専門のプロに任せていただきたいと考えています。

餅は餅屋、ということですね。

この記事のポイント

雨漏りの原因が分からないときは、株式会社サーモグラフィ検査へ

株式会社サーモグラフィ検査は、雨漏りの原因究明を専門とする調査会社です。

これまでに5,000件以上の調査実績があり、赤外線サーモグラフィ調査・散水調査・紫外線発光検査液調査・ガス注入調査など、建物の状況に応じたさまざまな方法で雨漏りの原因を追究しています。

「何度修理しても雨漏りが直らない」「ほかの業者に調べてもらったけれど原因が分からなかった」といったご相談にも対応しております。

また、弊社では雨漏りの原因を特定できなかった場合、調査費用をいただかない保証制度も設けています。

横浜本社・大阪の関西支店・九州支所を拠点に全国対応しており、戸建て住宅からマンション、商業施設まで幅広い建物の調査が可能です。

雨漏りの原因が分からずお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

雨漏りが発生してからは一刻も早い解決が必要です。
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